【中華圏比較】台湾・中国・香港の違いは?言語・お金・歴史などを比べて理解を深めよう

【決定版】台湾・中国・香港の違いは?言語・お金・歴史を比較しながら理解を深めよう

日本からも近い距離にある中国や台湾、香港。旅行や仕事の出張で訪れたという方も多いのではないでしょうか?

日本にとって身近な国なのに、「案外知らない」なんて方もいるかもしれませんね。

それぞれの違いを知っておくと、ニュースで報道される内容がもっとできて、情勢を考えることもできます。ここでは

この記事のポイント・アジアの中華圏文化の比較
・台湾と中国、香港の明確な違い
・中華圏文化

についてをまとめています。

実際、台湾は中国や香港とごっちゃにされがちですし、各情報を知っていた方がそれぞれの国の方との会話も弾むでしょう。

今回は、中国、台湾、香港についてあまり知らない方に向けて、それぞれの言語やお金、歴史などの違いを詳しく解説していきます。

読んでいただければ、読む前以上にそれぞれの国について詳しくなっているはず。

ぜひ最後まで見ていただき、隣国についての理解を深めましょう。

中国・台湾・香港の言語の違いについてを比較

中国・台湾・香港の言語の違いについてを比較
中国や台湾、香港は国内で話されている言語にも違いがあります。

それぞれの国で話されている第一言語と第二言語を見ていきましょう!

国名 第一言語 第二言語
中国 中国語 上海語、湖南語、広東語などその地域の言語
台湾 中国語(台湾華語) 台湾語(年齢が高い人や台湾南部に住んでいる人はを話す傾向がある)
香港 広東語 英語(旧宗主国イギリスの影響や国際金融センターのため)・中国語(学校で勉強するので、話せる人も多い)

一番勘違いの多いのが、台湾で話されている言葉は中国語と基本同じ、台湾華語(國語)なのに、「台湾語」がメインと思われている点です。

台湾南部では台湾語が多いのですが、基本的には中国語である台湾華語が第一言語です。

表を見ていただけると分かりやすいのですが、中国と台湾は「中国語」、香港は「広東語」が基本言語です。

中国人と台湾人は母国語で会話ができますが、香港人とはそれぞれの言語が理解できていないと会話ができません。

現在香港では学校で中国語を押しているので若い世代の方は、中国語で話すこともできるようです。

さらに、「中国」と一言で言っても、その地域は世界的に見ても広大です。

そのため中国は地域によっては上海語、湖南語を話す人もいます。

それぞれの地域の方は、その地域に根付いている言葉を話すようです。

それぞれは日本でいう方言とはちょっと異なり、完全に聞き取れないほど異なる言語だそうです。

台湾委は台湾語というものがありますが、これも中国語とはまったく違う言語です。

ただし、台湾語は若い世代にはあまり浸透していないようです。

中国・台湾・香港の場所!それぞれどこに位置する?

中国・台湾・香港の場所!それぞれどこに位置する?
位置に関しては、中国は大陸が大きいので分かりやすいですよね。

中国の東側に浮いている島国が台湾です。台湾は沖縄からも近く日本にも近い位置にあります。

香港は、中国南部に位置している半島です。日本からは台湾よりも遠くにあります。

中国・台湾・香港のお金は違う?通貨事情について

中国・台湾・香港のお金は違う?通貨事情について中国や台湾、香港は流通しているお金ももちろん違います。

台湾や香港は「ドル」とも呼ばれる通貨が流通しています。

中国のお金「人民元」

中国のお金「人民元」中国では「人民元」が流通しています。毛沢東の自画像が描かれているのが特徴ですね。

人民元は、日本円に換算すると1人民元あたり15円前後。

その時々で変わるので、気になる方はレートをネットでチェックしてみてください。

検索すれば、すぐに確認できますよ♪

台湾のお金「台湾元(ニュー台湾ドル)」

台湾のお金「台湾元(ニュー台湾ドル)」台湾のお金「台湾元」には、孫文や蒋介石、少年などが描かれています。

日本だと、「台湾元」や「台湾ドル」などと言うことが多いですが、台湾国内では「台幣」や「TWD」、「NT$」などと表記されています。

1台湾元は、日本円に換算すると3.5円前後(2020年現在)。

こちらもネットで最新のレートを確認できます。

香港のお金「香港ドル」

香港のお金「香港ドル」香港ドルの紙幣にはライオンの絵が多く描かれています。

日本では「香港ドル」ということが多いですが、香港では「港幣」や「港紙」、「HKD」などと表記されています。

香港ドルを発行しているのは「香港上海銀行」や「スタンダードチャータード銀行」、「中国銀行」の3つです。

1香港ドルは、日本円に換算すると14円前後となっています。

中国・台湾・香港はパスポートも異なる!

中国や台湾、香港はパスポートももちろん別々です。

それぞれの特徴を詳しく解説していきます。

中国(中華人民共和国)のパスポート

中国(中華人民共和国)のパスポート中国のパスポートの特徴は、赤色で国旗の5つ星が印刷されていることと、「护照」と簡体字で表記された「パスポート」を意味する文字。

中国人が日本を観光する場合、ビザを取得する必要がありますが、中には、ビザ免除や打擲時のビザを発行している国も世界で50カ国以上あります。

台湾のパスポート

台湾のパスポート台湾のパスポートは緑色で、中心に「護照」と繁体字で記載されています。

これもパスポートを意味する言葉で、パスポートには台湾の国旗にも描かれている太陽が印刷されているのが特徴。

台湾の方が日本を観光する場合、ビザは必要ありません。世界の130カ国は台湾旅行者のビザ免除と、到着時のビザを発行しています。

香港のパスポート

香港のパスポート香港のパスポートは紺色で、こちらにも中国の国旗に描かれている5つ星が印刷されています。

1997年7月に香港は中国に返還されたので、その関係で中国同様5つ星が描かれるように。

下部分にはパスポートを意味する「護照」が表記されています。

香港の方が日本を観光する場合、ビザは必要ありません。

香港からの旅行者に対して、世界の150数カ国はビザ免除、もしくは到着時のビザを発行しています。

中国・台湾・香港、それぞれの国と日本との関係は?

近い国だからこそ、それぞれの関係性が気になりますよね?

ここからは、中国、台湾、香港と日本の関係についてまとめていきます。

日本と中国の関係

日本と中国は1972年に日中共同声明を結んで以来、国交を維持しています。

日本は、「中国への謝罪」、「超語句を合法政府と認める」、「日米安保の認知」、「日本へ賠償請求をしない」など、調印の際には国同士の約束事を確認し合いました。

政治的には国交を回復したものの、国民感情は「友好」とはちょっと言えないのが現状。

それでも中国からの観光客は一昔前と比べると大分増えて、経済効果的には良い面も多くあります。

さらに2020年は日中関係が劇的に改善しました。

互いの立場を理解し、互恵関係が進展したことで今後はさらなる日中交流が望めそうです。

日本と台湾の関係

前述した日中共同声明で、日本は台湾との国交を絶ちました。

日本は台湾をひとつの国として認めていないため、それぞれの国に大使館は存在しません。

ですが日本には「台北駐日経済文化代表処」という機関が置かれていて、大使館の役割を果たしています。

表向きに国交はありませんが、国同士の関係は維持されている状態。

台湾人と日本人の関係も良好で、お互い観光でもよく行き来していますよね♪

台湾の人は「親日」とよく聞きますがその通りで、台湾人の方の多くは日本に好印象を持っています。

もちろん、興味がない方や反日感情を持っている方もいますが、基本的にはとても友好的に接してくれますよ。

日本と香港の関係

香港は元々イギリスの一部でしたし、中国に返還された後もひとつの国として独立したことがないので、日本との国交はありません(中国の一部として扱われている)。

国民感情は互いに良好で、香港の人に一番好きな旅行先を訪ねると「日本!」と答える方が多いそうです。

そこは嬉しい事実ですね。

ただし、日中戦争時に日本が侵攻した歴史があるのも事実で、一部の年配の方や政治活動家は反日感情を持っているという意見も。

でも基本的には高度に発展した親日民主主義文化の都市といえます。

中国と台湾、香港の歴史を知ると知らない世界が見えてくる

中国や台湾、香港はそれぞれの歴史背景を知ると、より深く理解できます。

それぞれの歴史について、改めて詳しく解説していきます。

中国と台湾の歴史について

かつて中国には「清」という国が存在しました。年数でいうと1616年から1912年までと、約300年にもなります。

清は世界的にも大きな国でしたが、日本やヨーロッパとの戦争に負け始めてからは領土を奪われたり、賠償金を支払わなければならなくなり、次第に衰退していきました。

経済的にも厳しい状況が続いた清は、国内で増税を行うようになります。

国民は当然不満を抱え、次第に反感を買っていきます。

清が終わることになると、新政府の政策に不満を持った民衆が反乱を起こすようになりました。

そんな中、孫文という男性が立ち上がり、民衆の象徴として活動の中心人物になるように。

孫文は「孫中山」という名で中華圏では知られています。

孫文は日本が明治維新を実現した例にのっとって、近代国家を自分たちの手で新たに作ろうと模索します。

そうして西洋に対抗していくべきだと訴えました。

孫文は後に「辛亥革命」と呼ばれる革命を起こすことに。

これにより清の時代は終結し、孫文の手で「中華民国」がつくられました。

・清を立て直すために、孫文が立ち上がり革命を起こした。
・孫文は清の代わりに「中華民国」を建国。

という流れです。

孫文は、中華民国を国として動かしていくために「中国国民党」をつくりますが、当時の中国はまだ孫文に反抗する勢力もありました。

それが「中国共産党」です。

ロシアの近隣である中国は、当時ロシアの「共産主義」の考え方も入ってきていて、それに同調する勢力が生まれました。

共産主義は若い世代を中心に広がり、中国共産党として毛沢東が率いるように。

・創文は清を倒して中華民国を建国し、国民党をつくった。
・毛沢東は共産主義という思想を持って、国民党に反抗して中国内の政権を握ることを考えた。

孫文が率いる中国国民党と毛沢東が率いる共産主義は、それぞれ対立はしていたものの、孫文が存命の時はまだ良い関係が続いていました。

ですが、孫文が亡くなって蒋介石が国民党の代表になると状況が一変。国民党は共産党の勢力を抑え始めたのです。

このことがきっかけとなり、国民党と共産党はさらに対抗し合うことに。

その流れは次第に共産党に有利になっていきました。

その理由として挙げられるのが戦争です。

国民党は日本との戦争を経験して力を失っていました。

一方で、共産党は今のロシアであるソビエト連邦から武器の支援を受けるなど、着実に力をつけていたのです。

そんな時代の流れもあり、次第に共産党は国民党以上に精力を増していくことになります。

ここまでをまとめると、・孫文が存命していた時は、共産党の活動は容認されていた。
・孫文の死後、国民党の代表が蒋介石になってから、共産党の活動が制限されるようになった。
・国民党と共産党が対立し始める。
・日本との清掃に敗れた国民党は、力を失っていた。
・一方でソ連から支援を受け続けていた共産党は力をつけていった。
・中国で、次第に共産党が勢力を強めていった。

そんな中、日本が1945年8月に戦争に負けたことを宣言し、日本の領土となっていた台湾から撤退。

その後、台湾は国民党が政権を握っていた中華民国となります。

ですが、前述した通り、この時の国民党は力を失っていて、共産党の方が次第に優勢になっていました。

そこで国民党は台湾に拠点を移し、台北に臨時政府を設置。

国民党は共産党から攻め込まれる寸前までいきますが、ギリギリのところで共産党の動きを止めることに成功しました。

この緊張関係は、実は今に渡るまでずっと続いています。中国と台湾が現在分かれているのは、このような歴史背景によるものです。

中国では共産党が統治を、台湾では国民党が統治を行っているというのが現在の状況です。

つまり

・毛沢東の共産党は、国民党に勝利して中国大陸に中華人民共和国をつくった。
・蒋介石の国民党は共産党に敗れて台湾に移り、中華民国を続ける。共産主義の中国とはことなり、日本やヨーロッパと同じような資本主義国家。

ただし、今の台湾は選挙により民進党政権となっています。

香港の歴史について

元々、香港は中国南部にある小さな漁村でした。当時の中国である清は、1841年に勃発したアヘン戦争でイギリスに敗れ、香港の領土をイギリスにとられてしまいます。

それ以来、イギリスは香港を150年もの間自由貿易港として統治し、貿易に関税をかけませんでした。

香港の統治にはイギリスの資本主義制度が取り入れられたので、経済が急成長することとなります。

1997年に香港は中国に返還されますが、香港は世界的に見ても高い経済力を持っています。

中国とは紙幣も異なるなど、あらゆる面で中国とは異なる点が多いです。

つまり、

・中国はイギリスに150年統治されたのち、中国に返還された。
・香港人の中には、中国に国籍があっても経済力や社会性、思想などが西洋寄りで中国人とは異なるという人も多くいます。

ということになります。

ただし2020年7月1日午前0時に香港国家安全維持法案が可決されたことにより、より中国当局の法執行力強化が進み、事実上香港の一国二制度はなくなりました。

出典:中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法 | wikipedia

台湾や香港はひとつの「国」なのか?

ここまで読んでいただいた方は、表題のことが気になるのでは?と思います。詳しく解説していきますね!

台湾に関しては完全にひとつの国です。独立した政府と国会、裁判所や流通している通貨、国民性など、ひとつの国として完全に独立しています。

しかし、台湾は他国から「国」として認められていないという事実もあります。

2019年の段階では、台湾をひとつの国として認めているのは世界の中でも15カ国に留まっていますし、現時点では日本も台湾をひとつの国として認めてはいません。

そのような商人が得られていないので、台湾は国連にも参加することができません。

ひとつの国として統治はされていても、国際的にはまだ認められていない段階なのです。

台湾では、中華民国体制から独立するという話も問題として定義されていますが、話が長くなるのでこちらの記事では割愛します。

一方で香港は、元々中国の領土でしたが、戦争でイギリス領に。

1997年に中国に返還されている状態です。そのため、香港は現在中国のひとつとなっています。

しかし、2047年までの間、中国は香港を「特別行政区」と定めています。

これにより、香港は自治権を持つことが認められているのが現状。

中国は現在共産主義ですが、現在は共産主義の中国と、資本主義の香港と2つの主義がある状態となっています。

これは1国2制度と呼ばれているもの。香港の方は、中国人とは異なる考え方や主義の下で生活をしているのです。

中国と台湾、香港の主体性(アイデンティティ)とは?

中国と台湾、香港は、あらゆる面で異なります。歴史はもちろん、政治の仕組みや主義、経済、文化など、それぞれ特色が全く異なるのです。

香港人、台湾人の方の中には「私は中国人ではない」と答える方もかなり多くいます。

台湾の大学が行ったある調査では、1992年に「自分は中国人」、「自分は中国人であり、台湾人」と回答する人は全体の4分の3と大部分を占めました。

この時、「台湾人」と回答した人は全体の19%でしたが、2015年に行われた同様の調査では「台湾人」と回答する人は60%を超えたそうです。

「自分は中国人であり、台湾人」と回答した人は33%、「中国人」と回答した人は、わずか3%でした。

同様の調査は香港でも行われています。

2016年に行われた調査では、「自分は香港人」と回答した人は67%で、「中国人」と回答した人は30%と、香港人と回答した人の数の方が上回ったのです。

「中国人」と答えた人の割合は2006年に行われた調査時と比べると、20%近く下がっています。

また、主体性であるアイデンティティも、若者を中心に中国から離れているようです。

台湾アイデンティティは香港アイデンティティの10年先を行っているともいわれていて、今後も若者を中心にこの動きが続いていくだろうと調査結果からも伺い知ることができます。

中国や台湾、香港の行政と司法について

最後に行政と司法について解説していきます。

中国や台湾は独立したひとつの「国」なので、国会や裁判所を国内に持っています。

香港は中国の一部で国ではないため、国会はありません。

ですが、議会や地方裁判所、行政長官(香港首長)が置かれ、行政と司法が展開されています。

そんな中国と香港の関係ですが、現在は悪化しています。

2014年、香港を中国化したい北京の中央政府が、自分たちの政権にそぐわない立候補者を排除する仕組みを取り入れたことがきっかけで、香港人の不満が爆発。

「民主的な選挙を」と訴え、香港の中心部でデモを行いました。

世界的にも大きく報道された「雨傘運動」です。

香港の中心部が一面傘で覆われた様子が記憶に新しい方も多いのではないでしょうか?

また、2019年には「逃亡犯条例改正案反対デモ」というのが香港で発生します。

これは香港の犯罪者の身柄を中国に送ることができるようになる法案を巡って起きているもの。

この法案は、中国政府の方針に沿わない、反対する勢力は犯罪者とみなされると、

強制的に中国に送られることを意味していて、香港人が認められている言論の自由や基本的な人権が失われてしまったのです。

極めつけは2020年6月末の「香港国家安全維持法」。これをもって一国二制度が事実上終了となりました。

この問題はアメリカやイギリスなどの民主主義国家からの反対は根強く、今後の火種となりそうです。

日本から近い中国や台湾、香港についてもっと知る必要あり!中華圏比較まとめ

中国や台湾、香港は日本に近い国でありながら、あまり詳しく知らないという人がいるのも事実。

歴史背景や国民性などを知ると、もっと視野が広がって実際に現地の人と関わる時に役立ちます。

記事内容はそれぞれの国の基本情報をお伝えしたつもりですがいかがでしたか?

これであなたも台湾と中国・香港の違いは完全に理解できたはず。

今後の勉強に、ぜひ役立ててください。